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令和6年第3回定例会

9/19(木)~10/16(水)、新宿区議会では第3回定例会が開かれました。この定例会では令和5年度予算の決算審査を行う「決算特別委員会」も開かれ、私も委員の一員として出席しました。

9/20(金)の本会議では、一般質問にも立ちました。

今回の質問は「ドローン利活用の推進と規制の必要性について」です。ドローンの社会実装が進む中、新宿区においても「①ドローンの活用を推進」するとともに「②ドローンに対する規制」も併せて講じるべきではないか、という問題意識から取り上げることを決めました。

※決算特別委員会の質疑や一般質問の様子は、区議会ホームページで動画が公開されています。

   

①ドローンの活用を推進

近頃、私たちの日常生活の中でもドローンの活躍する場面が増えつつあります。「災害対応」はその中でも主な用途の一つと言えます。元日に起きた能登半島地震でも、被災状況の確認や医薬品の輸送、被災した建物の調査など、ドローンは様々な用途で活躍しました。

私は新宿区においても、大規模災害発生時に生じる様々な課題に対し、ドローン活用は有効な手立ての一つではないかと考えています。

区内には数多くの集合住宅が林立していますが、停電や故障でエレベーターが止まった場合、例えば高層階にお住まいの方や高齢の方、身体の不自由な方などが、物資や医薬品などを運ぶために階段を上り下りするのはなかなか大変です。

また、新宿区では大規模災害時、多くの帰宅困難者が発生します。東日本大震災発生直後、多くの帰宅困難者が車道にはみ出して歩き、交通に支障が生じたのをご記憶の方もいらっしゃると思います。人流や混雑状況の把握、音声での誘導などにもドローンは有効です。

区は大規模災害が発生した際のマニュアルとして「地域防災計画」を策定していますが、現状、区としてドローンをどのように活用するのか、あまり記述がありません。技術の進歩や制度設計、官民連携の実証実験などの様子も見ながら、地域防災計画の中に位置づけた上でドローン活用を進めるべきではないか、と問いました。

区からは、技術の進歩や他自治体の取組みを見ながら、可能なドローンの活用について検討する旨、答弁がありました。

  

  

②ドローンに対する規制

ドローンの活用を推進する一方で、「安全保障」の観点から規制策を講じるべき部分もある、と私は考えています。

ドローン規制法では、国会議事堂や首相官邸、防衛関係施設を「レッドゾーン」、その周囲およそ300mを「イエローゾーン」に指定し、当該空域でのドローン飛行は禁止されています。新宿区では市谷本村町にある防衛省がレッドゾーン、その周囲がイエローゾーンに指定されており、安全保障の観点からもきちんと策が講じられています。

しかし、ドローン規制法には「災害時に国または地方公共団体が行う業務(民間企業に依頼するものも含む)」であれば、同法や航空法による規制を一部適用しない、という例外も設けられています。私はこの例外規定の部分に問題意識を持っています。

  

ドローン市場では、とある中国企業社製が圧倒的なシェアを誇っており、日本国内でも多くの方に利用されています。しかし、この中国企業社製のドローンについて、アメリカでは安全保障上の懸念からエンティティリスト(Entity List)に登録され、取引制限が行われています。日本でも飛行・撮影情報の漏洩、機体の乗っ取りといった懸念から、国が行う業務にはこの中国企業社製のドローンは使用しないよう政府の通達が出ています。

ただし、この通達は残念ながら地方自治体には適用されません。

       

新宿区は先般、民間企業との間で協定書を結びました。災害発生時、その企業が所有しているドローンを、人が立ち入れない場所での被災状況調査などのために飛ばしていただく、といった内容です。

こうした取組みを通じて、区にご協力下さる民間企業に対しては、私も心から感謝の念を持つところではありますが、その一方で、この民間企業が事業用に使用しているのは、先に述べた中国企業社製のドローンだということも聞いております。

  

災害発生時に新宿区がこの民間企業に災害対応の協力をしていただく場合も、この中国企業製のドローンが使われることになります。このこと自体は特に問題はありませんが、新宿区内には我が国防衛の中枢である防衛省があり、ドローン規制法によるレッドゾーン、イエローゾーンが設定されています。

これらの区域で、いくら災害対応のためであっても、安全保障上懸念のあるドローンが飛行してしまうと、万が一の場合には国益を損ねるような事態にもなりうる、と危機感を持っています。そうした問題意識から、区として何らか規制するようなルールを設けるべきではないか、と問いました。

答弁の中では、防衛省と協議を行った上で警察や関係機関と情報を共有すること、提携先の民間企業や消防団との協力体制など、様々な課題に関して検討するなどの言及がありました。

    

最初、区の担当部署に「こんな質問をする予定なんだけど…」と話をしに行った際、役所としては安全保障上の懸念というところまであまり認識が及んでいないような印象を受けました。

外交・安全保障は国の専管事項でもあり、地方議会では役所から答弁が出てこないことも珍しくありませんが、「まずは防衛省と協議を行う」など、区の方針をしっかりと示してくれた点は率直にありがたく感じました

イエローゾーンは市谷本村町、市谷加賀町・納戸町・払方町・市谷砂土原町・市谷田町・市谷左内町・四谷本塩町・四谷坂町・片町・市谷仲之町など、結構な広範囲に渡ります。これらの地域で災害時にドローンを使えなくて災害対応に何らかの支障を来さないよう、私も仕組み作りに積極的に関わっていきたいと思います。

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