前回に引き続き、決算特別委員会での質疑内容についてご報告いたします。
⑧外国人学校児童・生徒保護者補助金について
今回の決算特別委員会での質疑で最も時間をかけた質問ですので、少し詳しく(とは言えなるべく簡潔に)書きたいと思います。
私はこの補助金制度について、廃止も視野に入れた抜本的な見直しを行うべきだと考えています。
新宿区は外国人学校に通う子ども(小中学校年次)のいる世帯に対し、一定の所得基準を満たせば、月額6,000円の補助金を支給する「外国人学校児童・生徒保護者補助金」を設けています。この制度は昭和58年(1983年)に創設され、今までずっと続いています。周辺区のHPも調べてみたところ、同じような制度を設けているところは多いようで、所得基準を設けず一律に支給している区もあります。新宿区では令和6年度に対象者88人、624万円が支出されています。
区では、区立・私立・国立などの小中学校に通う子どもがいる世帯に対して、一定の所得基準を満たせば、月額6,000円の補助金を支給する「就学援助」制度を設けており、「外国人学校児童・生徒保護者補助金」はこの制度をまねて作られています。
つまり、すごく大ざっぱに言ってしまえば以下の通りです。
区立・私立・国立の小中学校に通う子ども → 就学援助(6,000円/月)
外国人学校に通う外国人の子ども → 外国人学校児童・生徒保護者補助金(6,000円/月)
1.制度の廃止・見直しをすべきでは?
私がまず持った問題意識は、この「外国人学校児童・生徒保護者補助金」の支給対象となっているのが朝鮮学校・韓国学校・中華学校だけという点です。欧米系やインド、ネパールなど、他の外国人学校に通う区内在住の子ども世帯は所得に関係なく、そもそも支援の対象にはなっていません。なぜ韓国・北朝鮮・中国・台湾系の外国人学校だけ?
区の答弁によると当時の資料も残っておらず、経緯がはっきりわからないところもあるようです。私も過去の議事録を少し調べてみましたが、当時(1983年)の担当課長は予算特別委員会で「色々と要望があって、他の区でも実施しているため新宿区でも実施したい」という説明をされていました。経緯としては、他区で一部の関係者から外国人学校に通う子ども向けの支援に関する要望があり、それを受けてその区で補助金制度が設けられたところ、それが新宿区も含めた他の区にも広がったのでは?ということのようです。
朝鮮学校・韓国学校・中華学校は学校教育法1条に規定される「1条校」ではなく、134条に規定される「各種学校」に当たります。「1条校」では、文科省が示す学習指導要領に沿った教育が行われ、教科書も文部科学大臣の指定を受けたものの中から選ばれ、教員も基本的には資格取得者が就くなど様々な義務を課されており、そうした数多くの義務の上に「教育の質や環境」が担保されていると言えます。一方で「各種学校」の認可は東京都が行っていますが、1条校ほどの義務や行政の関与もなく、「教育の質や環境」について行政が何らかの担保をすることは困難です。
(少し話は脱線しますが)数年前、とある通信制高校でテーマパークでのお釣りの計算を「数学」の単位の履修と見なす、という事例が問題となりました(それは数学じゃなくて算数!と言いたいところですが…)。朝鮮学校・韓国学校・中華学校でさすがにこんなことはないだろうとは思いますが、区の答弁では、これらの外国人学校でどのような教育が行われているのか、どのような教育環境なのかを把握・確認する取組みは「区として特に行っていない」ということでした。
つまり今の施策は、「(一部の)外国人学校にもどうぞ自由に通ってください。(所得基準を満たせば)区は経済的に支援しますよ。ただ、そこで子どもがどのような教育を受けられるのか、区としてはよくわかりませんけど…」と言っているのと同じことです。これでは「子どもの健全な成長に対する大人(行政)の責任」という観点から考えると、少し責任感が薄いように感じます。
最近の子ども政策は「子どもにとって最善の利益をどう実現するか」が基本的な理念になっています。もし、外国人学校に通う子ども世帯に経済的な支援策を講じるのであれば、その学校で少なくとも1条校と同じか、それに準ずる程度の「教育の質や環境」が確保されていることを、何らかの方法で確認・把握すべきですし、もしその水準に届いていないということであれば、そのような学校に子どもを通わせることに関連した予算を投じることが「本当に子どもの利益につながるのか?」、よくよく考えねばならないと思います。
「家庭の経済状況による教育格差」を是正すべきなのは間違いありません。ただ、多くの外国人学校とは異なり、区立小中学校は無償です。そしてこの補助金制度が創設された1980年代とは異なり、今ではどの区立学校でも、外国にルーツを持つ子どもも一緒に学べるような環境整備が進んできています。児童手当や018サポート、給食費の無償化や新宿区独自の入学祝金の支給など、経済的支援も拡充・充実してきています。時代とともに状況が大きく変化する中で、「多文化共生推進」という文脈で朝鮮学校・韓国学校・中華学校だけを対象としたこの補助金制度を続ける合理性が薄れてきており、廃止も視野に入れた抜本的な見直しを行うべきでは?と問いました。
区の答弁では、現時点で制度の見直しは考えていないが、制度を見直す際には「子どもの利益」という観点から、制度の廃止ありきではなく、効果や役割を検証して考えたい、ということでした。
子どもをどの学校に通わせるのかは、国籍問わず、もちろん各ご家庭の判断です。しかし、日本国籍の子どもであろうが外国籍の子どもであろうが関係なく、子どもの利益に資する水準の「教育の質や環境」が整っている学校に子どもが通うことを推奨する制度とすべく、これからも意見していこうと思います。
2.朝鮮学校を対象からはずすべきでは?
次の問題意識は、なぜ朝鮮学校が補助金制度の対象に入っているのかという点です。ご存じの方も多いと思いますが、平成22年に始まった国の高校無償化制度でも、朝鮮高校は一度も無償化の対象になっていませんし、東京都も平成22年以降、様々な理由から朝鮮高校に対する補助金を停止しています。
平成28年には「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について」という通知が、当時の文部科学大臣から出されています。内容を要約すると、国としては、朝鮮学校は北朝鮮と密接な関係を有する朝鮮総連がその教育を重要視し、教育内容・人事・財政に影響を及ぼしていると認識していると指摘しつつ、その上で、①補助金の公益性、教育振興上の効果に関する検討、②補助金の趣旨・目的に沿った適正かつ透明性のある執行、③補助金の趣旨・目的に関する住民への情報提供、を地方自治体にお願いしています。
すごく簡単に言いかえると「朝鮮学校は朝鮮総連から不適切な介入を受けている学校だから、補助金を支出するのであれば、必要性や効果をよく考えてやって欲しいし、住民にもわかりやすい情報提供をして欲しい」ということです。
東京都は過去、朝鮮学校の実態を確認するため、都内11の幼・小・中・高・大学に独自の調査を行っており、平成25年には朝鮮学校調査報告書を出しています。都の報告書では「社会の教科書に朝鮮総連が朝鮮学校を設置・運営している旨の記述があること」や「教科書の編纂に朝鮮総連が関わっていること」などを挙げ、結論部分で「朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容や学校運営について、強い影響を受ける状況にある」としています。
朝鮮総連についてここで多くは語りませんが、関係者が日本人拉致事件に関わっていたとされていますし、北朝鮮に対する不正輸出などで有罪判決を受けた事件もあります。公安調査庁(法務省の外局)は朝鮮総連を、破壊活動防止法にもとづく調査対象団体に指定しており、過去の答弁でも「今後の情勢いかんによっては、将来、暴力主義的破壊活動を行うおそれのあることを否定し得ない」としています。
北朝鮮→朝鮮総連→朝鮮学校という主従関係や朝鮮総連の活動などについては、公安調査庁が毎年公表する「内外情勢の回顧と展望」という報告書をぜひご覧ください。
※余談ですが、新宿区議会の中には日朝友好議員連盟が存在し、区議会議員と朝鮮総連関係者が懇親会も開いています。もちろん私は参加したことはありませんが…。今年の新年会は某高級焼肉店で開かれ、お店の価格帯からすると明らかに低額の会費が設定されていました。聞いた話では、懇親会の中で「外国人に地方参政権を」という総連側からの呼びかけに議員側が呼応する場面もあるとのことで、私としては危機感を持たざるを得ません。
全く別の観点からの話になりますが…。
国が朝鮮高校を無償化制度の対象外としたのは違法だとして、卒業生などが国を訴えるということがありました。東京・大阪・名古屋・福岡・広島、全5件の訴訟について、令和3年7月に広島高裁判決が確定したことで、5件すべてで「適法」という司法判断が確定しました。広島高裁判決の中では、朝鮮総連から朝鮮高校の教育現場に対して、教育基本法が禁じる「教育への不当な支配」があり、「学校運営が法令に従った適正なものであることについて、合理的な疑いが生じる状況にあった」という判断が示されています。
もちろんこれらの判決はあくまで、国の高校無償化制度から朝鮮高校が対象外とされたことについての判断であり、小・中・高の違い、また各地域の違いなど、様々な点で事情は異なると思います。また、国や都の政策は「朝鮮学校」に対する補助金で、区の制度は「家庭」に対する補助金という違いもあります。
しかし先にも述べたとおり、北朝鮮・朝鮮総連・朝鮮学校には主従関係があり、幼・小・中・高・大学問わず、また地域問わず、大まかな構図は変わらないのでは?と推測するのが自然です(東京都の報告書は小・中も対象に調査を行った上で、朝鮮総連と朝鮮学校の関係を指摘しています)。司法から判決で疑義が呈されている以上、補助対象に朝鮮学校を入れることが適切なのか、区が調査するのが理想ですが、区にはそんな権限も人員ももちろんありません。
また、この施策と直接結びつけて考えるべきではないのかもしれませんが、日本人の拉致問題については、親世代の被害者として最後の1人である横田さきえさんが、今も娘の帰りを待ち続けています。過去には、娘の横田めぐみさんの偽の遺骨を北朝鮮が日本側に引き渡すという、ご両親のご心痛を考えれば、あまりに非道な行為もありました。多くの日本人は、こうした一連の動きに対して憤りを覚え、そして胸を痛めているのでないかと思います。
つまり、
・公安調査庁の報告書…北朝鮮→朝鮮総連→朝鮮学校という主従関係があること
・東京都の報告書…朝鮮学校の小・中学校にも調査を行った上で「朝鮮学校は朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容や学校運営について、強い影響を受ける状況にある」と結論づけていること
・確定した司法判断…「学校運営が法令に従った適正なものであることについて、合理的な疑いが生じる状況にあった」としていることなど
・拉致問題に対する国民感情…この補助金施策は国や都からの補助もなく100%区の一般財源から支出しており、納税して下さっている区民の皆さまにご理解をより丁寧に頂かねばならないこと
これらを総合的に考え、もし「外国人学校児童・生徒保護者補助金」を制度としてこのまま続けるとしても、少なくとも朝鮮学校は対象からはずすべきではないかと、区の認識を問いました。
区の答弁では、「子どもの教育機会の確保」という観点から、この補助金が子ども達の学びや成長に貢献していると認識しており、適正かつ透明性のある運用を確保することが重要と考えている、ということでした。
この施策については、区の考え方と私の考え方は大きく異なりますが、区民の皆さまからお預かりした大切な税金が少しでも子どもの健全な成長につながるよう、これからも丁寧な議論を重ねていこうと思います。
私は自民・参政クラブに所属しており、区長の政治姿勢や政策の方向性についても全面的に賛同しています。ただ、区が行っている数多くの施策の中には「こうした方がいいのでは?」というものもたまにあります。そうした場合には、自らの良心と信念にもとづいてしっかりと意見を言ってまいります。
※わかりやすくするために、本文中では各種学校に対しても「小学校」「中学校」「高校」などをつけています。厳密にいうと、これらの名前をつけられるのは「1条校」だけです。










