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令和7年第3回定例会 決算審査に臨みました①

第3回定例会中には決算特別委員会も開かれました。私も委員の1人として決算審査に臨みました。

決算特別委員会とは、新宿区の前年度(令和6年度)の収入・支出がどうだったのか、区の事業は適正・効率的に行われたのかなどを、議員→役所への質疑を通してチェックする委員会です。

毎年秋頃になると役所は来年度の予算案をつくり始めますが、決算特別委員会での質疑内容が次年度の予算案に反映されることもあるため、決算審査は議員の重要な仕事の1つです。

※ちなみに国会の決算(行政監視)委員会ではその年度から2年度前の決算が審査されるので「決算委員会での審議内容を次年度の予算案に活かす」というのはそもそも不可能です。前年度の課題・改善点を次年度に活かせるという点では、地方の方が国よりも良い制度設計になっていると思います。

  

今回の決算特別委員会で私が質疑したのは、主に以下の通りです。

①令和6年度決算全体を見た上で、今後の区財政運営について

②今後の区政運営において「受益と負担」をどう考えるか

③基金の運用について

④民泊について

⑤防災について

⑥今後の観光施策のあり方について

⑦産業振興策のあり方について

⑧外国人学校児童・生徒保護者補助金について

⑨新宿区役所庁舎内での政党機関紙の販売について

※質問の様子は区議会ホームページで動画が公開されています。タイトルに「令和7年決算特別委員会」とついているものをご覧ください。

  

上記すべてについて書くと膨大な量になるので、いくつかだけ取り上げたいと思います。

  

③基金の運用について

基金とは、特定の目的(福祉施設の整備や奨学金など)に使用するために積み立てている、区のいわば「別財布」です。別財布に積み立てているお金は、区の「貯金」とも言えます。区議会であまり取り上げる人はいませんが、私はこの「貯金」について少しばかり問題意識を持っています。

ここのところ、物価(と賃金(名目)も)が上がる経済状況が続いています。同じ“1万円”を持っていても、少し前まではお米が20kg買えていたのに、今では10kgちょっとしか買えなくなっています。日本全体で2%を超える物価上昇が3年以上続く中で、昨年度の区の基金運用利回りは0.218%にとどまります。

「物価上昇の2%」と「運用利回り0.218%」の差は、それだけ基金の価値が目減りしているのと同じ事だと、私は考えています。銀行にお金を預けていくばくかの利子を得るだけでは不十分で、適切な運用を通して区の貯金(区民の財産)を守らねばならない経済状況にある、と捉えています。

基金の運用については、法律で「確実かつ効率的に運用しなければならない」とされていて、できることに限りがあるのも事実です。区は預金36%・債券64%で基金を運用していて(令和6年度末時点)、債券は満期保有を原則としているとのこと。昨年度からは新たに社債を購入するなどの取組みも始めていますが、もう一段の工夫が必要だと感じます。

区の基金運用は四半期ごとの損益報告などがないため実態がなかなか見えづらいですが、物価上昇率と運用利回りの差が少しでも小さくなるような工夫を、今後も求めていきたいと考えています。

  

④民泊について

私の担当する箪笥地域は、大久保や戸塚地域と比べて民泊施設はまだ少ない方ですが、それでも民泊に関するご意見をいただく機会は確実に増えています。区内様々なところで苦情やトラブルが発生しており、地域住民の生活に支障が出ている例も少なからず耳にしています。

そんな中で新宿区は今年9月、法律で決められた義務を果たさない悪質な民泊事業者に対して、“30日間の業務停止命令”を出しました。こうした行政処分は都内自治体では初めてで、吉住区長も強い危機感を持っているようです。今後、より実効性の高い施策に踏み込む可能性も感じます。

委員会では、民泊問題に対応する区の体制について質疑を行いました。民泊の許可申請の窓口、監督・指導は保健所が担っており、保健所を担当する区の部署は「衛生課」になります。衛生課の業務は非常に多岐にわたっていて(医薬・食品衛生・感染症対策・母子保健・動物愛護(犬猫など)・環境衛生(ネズミ対策など)、ここにさらに近年、民泊が大きな課題に浮上しています。人員は足りているのか、体制は整っているのか、などについて確認をいたしました。

新宿区では民泊に対し、条例によって法律よりも厳しい規制を課しています。ただ、「住宅宿泊事業法」という法律で民泊が事業として認められている以上、条例で一律にすべて禁止するなどといったことは難しい状況です。また、既存の民泊事業者に保障される財産権や自由権との兼ね合いもあり、これから規制を強化するにしても、しっかりと理論武装した上で取り組む必要があると感じています。

 

また、届出を行わずに観光客を宿泊させる“違法民泊”に関するお問い合わせも、最近よくいただきます。民泊物件には扉や玄関部分など、誰からも見えやすい場所に「標識」を設置せねばならない決まりになっています。この標識が貼られていない物件から、大きなキャリーケースを持った観光客と思われる人が出入りする状態が続く場合、違法民泊の可能性があります。

不審な点がある場合は、私でも、衛生課でも、情報提供をいただければ確認いたしますので、遠慮なく連絡をいただければと思います。

  

少し長くなったので、続きは次の稿で報告します。

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